ずっとあるということ


まず初めに、皆さんに謝ることから始めなければなりません。

これまでこのブログでは、あまり知られていない大分の魅力を紹介してきました。

しかし、今回は湯布院の玉の湯で過ごした時間について紹介させていただきたいのです。

大分の皆さん。そうです。今あなたが頭に思い浮かべているあの玉の湯です。

その創始者が現在まで続く「湯布院ブランド」を築いたとされる湯布院御三家のうちの一つであり、大分県下でも名旅館として名高い、あの玉の湯です。


「どうしてお前のような人間がそんなところに泊まれるのか」


―そういわれましたら、これまでの勤労の成果ですとしか答えようがありません。奮発いたしました。


「ユニクロのTシャツでいっても怒られないのか」


ー過不足のないもてなしをしていただきました。



何はともあれ、なんとかかんとか頑張って、高い旅館に泊まりましたよという話です。


さて、湯布院といえば、別府と並ぶ大分の有名温泉地です。

別府が雑多でパワフルなイメージなのに比べて、湯布院は穏やかで静かなイメージ。

先ほど述べました通り、玉の湯は、亀の井別荘、無量塔(むらた)と並ぶ湯布院御三家の一つであり、これらの創始者が、湯布院ブランドをつくりあげたと言われています。

乱暴に言えば、湯布院の本質は御三家にあるというわけですね。



初めに案内されたロビー。暖炉は夜になると点火されます。


泊ったのは和洋室の二部屋、内温泉付きの離れです。

温泉はヒノキの香りをかすかに、さらさらとした優しい泉質。

何度か入っても疲れません。

おもてなしも素晴らしく、終始心地よく過ごすことができました。



庭を臨む板の間


旅にでること。

旅行をすることの価値って何だろうと考えます。

有名なものを見れればいいのか。雑誌で見たものを食べられればいいのか。

つまり、教科書で見た絵をこの目で見ることが出来ればいいのか。

すでにあるとわかっているものを、確認することが価値なのか。

と、僕は思うわけです。

僕は、見たことがない絵でも感動をしたいと思います。

博物館に行くんじゃなくて、美術館を楽しむように、旅がしたいんです。

ここで出会ったものに、いま感動したいんです。



その意味で素晴らしかったのは食事。

山菜、川魚を中心としたメニューはどの品をとってもおいしいですし、その土地のものをいただくことができます。



鮎の塩焼き×麦焼酎は強かった…。





次に驚いたのが庭です。

僕はこの場所で初めて、紅葉していないもみじが美しいと感じました。




離れから覗く庭。


雨にうたれてピンポン玉のように弾む青葉に、ぽつぽつとなる屋根。

「雨」という名のインスタレーションとして、時間が完成されています。

葉が風に揺れるということ、鳥たちが雨宿りに訪れるということ、

それらのプログラムがいまという時間を価値あるものに昇華させていきます。

この庭はできるだけ自然の姿を残している雑木林です。

もとは田んぼだった土地によそから土をもってきて、今の姿になるまで保っています。


湯布院というブランドを作り上げた先人たちの思い。

雑木林を保ち続けてきた労苦。

そして、いまここにいる自分。

歴史といまが交わって、ここで経験がなされるということ。

これがこの旅館の価値だと思いました。



静けさとともに旅館は、変わらずに宿泊客を待っています。


皆さんもぜひ立ち寄ってみてください。




夜は併設のニコルズバーでウイスキーを飲みながら、

生チョコを食べました。イェーイ!


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