麦チョコのような風味? 幻の焼酎 兼八

九州人にとってラーメンは豚骨であるように、大分人にとって焼酎は麦である。
小さい頃は家に一升瓶があり、その銘柄は大分を代表する蔵元「二階堂」だった。

大人になり、地元大分で就職をした僕が会社の飲み会でボトルキープを命じられるのも、やはり有名な銘柄であるいいちこや二階堂。
大学時代焼酎を飲むことのなかった自分にとって、麦焼酎の味は社会人の味、仕事の味としてインプットされてしまった。

そんな僕の麦への想いを変えてくれる焼酎についこの間出会った。
名前は兼八。
蔵の創業者の名前を冠したこの酒の風味はとにかく香ばしく、味は美味い。

酒を飲むとき、何をあてにして楽しもうと夢想する。
ハイボールが飲みたいから、燻製がいいな。
日本酒には海鮮の地獄蒸しでいこう。
秋刀魚の塩焼き?麦の水割り一択だろう…。

この酒はロックでいきたい。
度数25度の決して低くないアルコールを強く感じることはない。
むしろ、香ばしくローストされたような麦の香りを存分に味わいたい。

この酒にあては要らない。
スナックも、あたりめも、エイヒレも不要だ。
この酒はこの酒を嗜好するための時間を費やすに値する。

大分の宇佐で生まれたこの酒は、その希少性ゆえ幻の焼酎と呼ばれている。
が、何故か自分の行きつけの別府の酒屋にはアマゾンより3割程度も安く、当たり前の顔をして並んでいる。

暑くなる部屋、虫の声を聞きながら、香ばしい焼酎をロックで飲み交わす。
もちろん、温泉に入った後で、だ。
そんな夜を過ごしに大分に来るのもいいじゃないですか。

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